大谷賢治郎について 中納良恵/EGO WRAPPIN' ヴォーカル
魚座の男はロマンチストである。いつも何か熱くなることを求めているように見える。そして彼女がいつも美人である。ミュージシャンに魚座はとても多い。大谷君は役者だが、その1人。大谷君の舞台は3年前に 拝見させてもらったことがあります。公演後挨拶に行ったら、いつもの彼ではなく演じた役者が乗り移ったままで、その日大谷賢治郎はどこにもあらず、会えず。自分ではない人格を演じるって、透明でないと出来ないことだと、改めて痛感しました。夢のような美しさを追い求めるからこそ、いつも何か真実があると信じ、模索する姿はとても人間くさい。そんな人間くささが大谷君にはある。汗と笑いがとても似合う。そしてTシャツも似合う。ハートが熱くて、イケメンで、英語がペラペラな役者なんて、なんだか、とってもくやしいです。
高川裕也について ルティ・カネル 演出家 テル・アヴィブ大学演劇学科主任
本当の芸術家である俳優-長い期間における稽古の中で、彼と創造の過程を共有できたことは私にとって大きな喜びである。作品の深甚な劇的構造に対し、ユニークに向き合う彼を見て、私はすぐさま彼が優れた俳優であることを発見した。機知、独創性、自発性、そして、強い意欲をもって、彼がいかにして哲学的コンセプトを感覚的な演技行為に変えるのかを目にし、感嘆した。彼は独特の角度から世界を捉える。内省能力、感受性に恵まれ、それが分析的思考と個人的世界を、コミュニケーションとしての興味深い演劇作品へと変える潜在能力へと結び付いているのだろう。私にとって彼は素晴らしい友人であり、常にパートナーに対し真摯に自らを捧げることの出来る仲間である。スタニスラフスキーの言葉に「良い俳優は芸術を愛す。芸術の中の己自身ではなく」という一句があるが、裕也さんの演劇に対する姿勢を美しく描写する言葉ではなかろうか。
星野有樹について 吉野寿 eastern youth/bedside yoshino
星野君の顔は一見、取っ付きづらい感じの顔だ。昔の俳優の岸田森みたいな系統の顔。髪型、横分けだし。話してみると、やはり外見同様、ドライでクールな印象だ。ちょっと飲ませてみる。ウィスキーを好むようだ。顔が緩んでくる。ユルユルになってくる。そして程なくして、子供の顔になるのであった。顔の系統は依然として岸田森だが、酔っ払い星野君に取っ付きづらさは何処か消えて、子供みたいな、お爺ちゃんみたいな、そんな風貌になってゆくのであった。一見、ドライでクールだが、実は木綿のような柔らかさを常に内包していて、それは彼の切り取るフィルムの一場面や、紡ぎ出すストーリーに完全に一致する。手巻き煙草を吸いながら、独り風に吹き曝されながら、風景の向こう側を、陰影の底の底を、見つめているのだなあ。